「とら×うしお祭り」会場入口にて

「なぁなぁとらぁ」
『何でぇうしおー。……何だおめえ……随分浮かれたナリしてやがんな』
「へへへー。ここで今「とら×うしお祭り」やってるんだってよ!
オレとおまえの祭りだぜ? すっげぇよなー。
オレ、あんまり嬉しいから祭り法被着てみたんだけどさ、ハチマキが見つからないんだよなー」
『わしとおめえの祭りだぁ? ふぅん……とんだモノ好きもいたもんだ』
「うー。ワクワクするよなぁ。へぇ、遊びに来た人の絵とか文章とかも自由に飾れるんだ。
オレの描いた絵も飾ってくれないかなー」
『やめとけやめとけ、せっかく来た客が逃げちまわぁ』
「……何でだよ」
『あ? まだ分かんねぇのか? そりゃおまえ、ヘタ……』
「あぁ? 今、何つった?」
『い、ってぇな!!! すーぐ槍で殴りやがって!!』
「スイマセンねぇ〜。妖には美的センスなんてないですよね〜」
『この〜〜! ぶち殺すぞクソガキが!! 祭りごときでいちいち浮かれてんじゃねーや』
「ん……? おまえ、手に何持ってんだ?」
『あっ! 何すんだよ!!』
「これ……ハチマキ……? あー!! おまえが持ってってたのかよー!
とらぁ、おまえ……祭りのこと知ってたんだな」
『……何、笑ってんだよ……』
「くくっ……素直に嬉しいって言えばいいのに。本当はとらだって……楽しみなんだろ?」
『……けっ。バーカ!』
「えーと……「とら×うしお祭り」は6月30日までやってます。オレたちも楽しみにしてるので、
みんなも楽しんで下さい! ……ほら、とらもちゃんと挨拶しろよ!」
『ふん。……愚か者は宴に集うけどよ、モノ好きは祭りに集うんだなー。
ま、わしが退屈せんように盛り上がれよな』
「ほーんと、素直じゃない上に失礼な奴だなぁ。あっ、そうだ! 
これからもオレたちふたりをよろしくお願いします」
『……あのなぁ、わしゃ妖なんだよ。ふたりとか言うんじゃねぇ!!』
「いちいち細かいなぁ。まぁいいや。早く見に行こうぜ、とらーっ!」
『うるっせーんだよ、うしおーっ!!』


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